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書籍校正のひみつ

書籍校正者の日常

2025'06.16.Mon
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2006'09.11.Mon
なんの仕事でもそうだと思いますが、校正者になるには、まず素質がなくてはなりません。
素質がなくてもやる気を見せれば入れる業界だとは思いますが、素質がないと、続けていくのが難しくなります。
こもりっきりで、座ったままで、文 字と顔をつきあわせる生活になります。
文字の向こうに見える世界を旅することが、ほんとうの旅のように楽しく感じられれば、問題なく続くと思います。

あなたがこんな人だったら、校正者になれるかもしれません。

・昔から、本を読んでいると誤植が気になった
・活字の字体が気に入らなくて読めない本がある
・1冊の本の前半と後半で話がつながらないのが気になる
・漢字テストはいつも100点だった
・漢字辞典やことわざ辞典が大好きだ
・1冊の本はだいたい1日で読む
・家の中で1日中過ごしても平気

自分が校正者に向いていると思ったら、まずは実務経験を積みましょう。
校正の講座に通ったり、試験を受けたりする手もありますが、結局その後に実務経験を積まないと話になりません。
あなたが校正に向いている人であれば、そんな回り道をする必要はありません。
現場に入り込んで、やり方を教わりましょう。

現場に入り込むには、人の紹介が一番です。
編集関係の知り合いや、知り合いの知り合いや、親戚の知り合いや、知り合いの親戚がいたら、紹介してもらい、校正をさせてもらいましょう。
このときは、実務経験をもらうための試験のつもりで、ちゃんとした校正者に出している原稿を、読ませてもらうといいと思います。
ただし、この原稿は未発表原稿ですから、その内容については一切外部に漏らさないよう気をつけてください。
「そういう本が出るらしい」ということも、企業秘密です。
これをやってみると、自分が向いているかどうかがよくわかると思います。

知り合いの出版関係者が、あなたはいい校正者だと思ってくれたら、その時点からお仕事を回してもらえるでしょう。
また、素質があると思ってもらえたら、また、校正者に出すゲラをまわしてもらえ、訓練を積むことができるかもしれません。

出版業界は、やる気のある人には入りやすい業界です。
裏を返すと、力量のない業界人がたくさんいる世界なのです。
つまり、よい編集者は、つねによい校正者やスタッフを捜しています。
あなたに素質と力量があれば、仕事をとることはそう困難なことではありません。

ひとつだけ、注意しておくことがあります。
校正者の仕事内容は、本を読み、理解を妨げるところを指摘することがメインですが、それは
「人と話さなくていい仕事」
「コミュニケーション能力のいらない仕事」
とは違います。
出版社に面接試験を受けに来る人の中には、
「人と話すのが苦手なので本を作りたい」
なんていう人がいますが、一人で本を作ることはできない以上、それは無理です。

校正者は、編集者から仕事をとらなくてはなりませんし、
相手にいかに伝わるかを考えて朱を入れなくてはなりません。
書き方によっては、著者や編集者を怒らせてしまうこともあります。
話好きである必要はまったくありませんが、コミュニケーション力は日ごろから磨いておきましょう。

以上は、一般的な「校正者のなりかた」です。

あなたがもし若ければ、出版社の校正部員として正社員になる手もあります。
若ければ未経験でも採用してもらえます。
要はやる気です。

出版社は門戸が狭いので入れなかった、という人は、東京にたくさんある編集プロダクションに入るといいでしょう。
編集プロダクションは、出版社と直接つながっているので、働きがよければ数年以内に引き抜いてもらえます。
学校に行くより現場に早く入った方が実力がつくのはいうまでもありません。

あなたがもしどんなに探しても出版関係のつてがなく、年齢や家庭の状況で就職が難しい人なら、エディタースクールや資格学校に通うのもいいかもしれません。
卒業生にはある程度求人が来ると思います。


こうして数年の実務経験を積んで、評価が確立してから独立するのがもっとも確実な方法でしょう。
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2006'09.11.Mon
書籍校正者の仕事とは、完成した書籍に間違いが出ないようにすること、これに尽きます。

基本的なこととしては、

・誤字、脱字
・事実に基づく本であれば、年号や科学的事実との齟齬などないか
・架空の話であれば、伏線とストーリーとの齟齬などないか
・話の流れに不自然なところがないか
・指定の通りにレイアウトされているか
・ノンブルや章番号は通っているか
・シリーズものであれば、前巻とレイアウトや文字遣いが揃っているか
・用語に不統一はないか
・アルファベットの部分にスペルミスはないか

などに注意しつつ、読んでいきます。
たとえ親本のデータがそのまま使える本があったとしても、校正者のところに来たときに「完璧」なゲラはありません。
かならず、朱(あか)が入ります。
(朱が入らないと、なんだかシゴトをしてないような気になるので、完璧と思っても必死で読みます。)

朱は、間違いに入れるものですが、
ほかに、鉛筆で疑問出しをする箇所もあります。
著者の説明不足の部分や、小説などで、事実を下敷きにしているにもかかわらず事実と微妙に異なっている点など、著者に確認が必要なところは鉛筆で入れておきます。
編集者は、その鉛筆書きを見て、著者に確認をとります。
直すべきところには編集者が朱を入れ、入力作業者に渡すという手順になります。
クライアントの手順を理解し、作業しやすいように朱字を入れるのも、必要な技能の一つといえます。

以上の作業は、「素読み」と言われる部分ですが、これに「引き合わせ」が加わることもあります。
引き合わせは、突き合わせとも言い、原稿とゲラが違っていないかをチェックする作業です。
非常に集中力を要求される仕事で、向いている人と向いていない人がはっきり分かれますが、校正者としては最低限の技能です。
著者が手書きで原稿を書いていた時代には、引き合わせなしに本を作ることはできませんでしたが、現在はこの仕事は減りつつあります。
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